川越美和の暗さが予兆していたもの
「90年代のアイドル歌手が孤独死」という文字を見て、誰だかピンとこなかった。 それが川越美和だと知り、「あぁ!いたいた。でもアイドルか?」と思った。 曲は出してたけど、私には女優のイメージが強かった。 私は時々、「あんな人、いたよなー」などと、消えた芸能人について思いを巡らすことがあるのだが、彼女に関しては一切なかった。 完全に忘れ去っていたわけだが、記憶にはちゃんと残ってる。 閉ざされた記憶の引き出しを、パッカリ開けられた感じ。 当時「この人、芸能人として大成しないだろうな」と思ってたことまで思い出した。 圧倒的に華がなかった。まとわりつく空気が暗かった。歌声にも個性がなかった。 10年ほど前に芸能界を引退したらしいが、本人としては未練があったようだ。 連帯保証人になったことで莫大な借金を背負わされ、自己破産し、職や住まいを転々とし、精神が不安定になってガリガリに痩せ、生活保護を受けていたということが、「孤独死」よりもショッキングだった。 彼女とドラマで共演したこともある中江有里が、このニュースを取り上げた情報番組の中で、「私に何かできることがあったんじゃないかと・・」と言って泣いた。 そのドラマ以外何の接点もなく、何のつきあいもしてこなかった相手である。 そんな相手から「金に困ってる」と言われたとして、中江有里は助けただろうか。 「何かしてあげられたのに」みたいな言い方は、後出しジャンケンみたいで嫌だ。 声さえかけてあげられてもいないのに。 死者に呼び掛けるとするなら、「何も気づかなくてごめんなさい」だろう。 お菓子のカールが販売終了になることに、嘆き騒ぐ人たちにも言いたい。 そんなに嘆くなら、普段から買っとけよ。そしたら販売され続けてたよ。 カールに呼び掛けるとするなら、「何も気づかなくてごめんなさい」だ。 ※関連記事… 幡 蒼子のおこりんぼ日記3: 要するに誰も彼女を助けなかったってこと